1991.3.15 BonVoyage

ノーモア・ブッシュ

「まず総理から前線へ」

 「国民が高い失業率で苦しんでいるときに、なぜイラク復興にそんな巨額の税金を使うのか」と言う批判が、議会からふき出している。と言っても日本ではない。アメリカの話だ。

 朝日新聞によると、01年度のアメリカの国防支出は3055億ドル(約32兆4千億円)と12年ぶりに3千億ドルを突破し、いまもなお増え続けていると言う。で、、ブッシュ大統領がクリントンさんから政権を引き継いだ3年前は黒字だった財政収支は、04年度には5千億ドルをこえる大赤字になると見込まれているそうな。
 
そんな大赤字をつくったブッシュさんが、今年の大統領選でまた勝ちそうな気配だが、その流れに「待った」をかけるキョーレツなCMを見た。(TBS系『サンデー・ジャポン』)

 次々に現われる労働のシーン。食堂の皿洗い、ホテルの廊下のソージ、ビン工場の流れ作業、ゴミ処理の荒仕事…、作業そのものはよく見かける作業だが、なんと、それに生気のない顔で従事しているのは、みな、7、8歳の子供なのだ。で、画面に文字「ブッシュ大統領のつくった大赤字を実際に払わされるのは、いったい誰だと思いますか」。

 手きびしい、というより、おそろしいCMである。で、ひとごとではないCMでもある。このCMは、ネット上で行われているコンテストの優秀作品で、テレビで放映されるのかどうかわからないが、こういう広告が市民の中からつくられてくるところが、いかにもアメリカではないか。

 ひとむかし前、「広告批評」誌が日本の代表的コピーライターの人たちに声をかけて、思い思いに反戦広告のコピーを試作してもらったことがある。

「まず総理から前線へ」(糸井重里さん)など、面白いコピーがたくさん集まったが、テレビCMでこういう試みをした例は、おそらくないように思う。

 別に政府批判でなくてもいい、市民が政治に対して、CMという形で自由に意見を言うCMコンテストのようなものを、どこかのテレビ局でやってくれないのだろうか。ま、いまのテレビ局は、テレビショッピングなんてものには熱心でも、市民の声に場を提供するなんてことには、たぶん、感心がないだろうな。

天野 祐吉(コラムニスト)


2004年1月<朝日新聞“CM天気図”より>

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